小2の頃に運動会の練習中、大怪我をした。
傷口の手首から白い骨が見えて、肩が反対方向にまがった複雑骨折だ。
手術後に、右腕の切除も考えた、とドクターの方から言われた。
そのときは、約3か月ほど病院に入院したりしていた。
おかげでその期間に小学校で習うはずだった九九が抜けていて、小学生の頃は算数の授業が苦痛だった。
イライラして算数のテスト中にテスト用紙をぐしゃぐしゃに丸めたり、算数ノートを切り裂いてゴミ箱に捨てたりしていた。
学校の算数の授業、計算ができなくて、あふれる涙をずっと我慢していた。
まわりの子はどんどん丸をもらっていた。
自分がみじめになる、算数が大嫌いだった。
中学にあがっても、算数が数学になっても同じで、苦手だった。いや、苦痛だった。
特に1年生の頃はお情けで、「1」がつかない程度で点数としては最低だった。
九九はできるようになっていたが、まだ苦手意識があって数学コンプレックスがあった。
自分には数学ができないと、心のふたをしていた。
それが、中学2年生でエイメイに入り、当時いたエイメイの先生のおかげで数学としっかりと向き合うようになった。
基礎の基礎から指導していただいた。
特別に分数のプリントや文章題のプリントをもらい、わからなければ質問に答えてくれた。
定期テストや受験勉強のときにも、特に力を入れて努力をした。
中3で数学の偏差値も10以上上がり、はじめて数学のテスト90点以上をとった。
高校時代は、数学が好きな科目になった。
2年次に文系にすすんで、自分の答案が字の汚い先生の代わりの答案だった。
自分の答案用紙をコピーされ、模範解答としてクラスのみんなに配られた。
算数出来なすぎて悔しくて泣いていた子どもが、
まさか、高校でそんなことが起こるなんて。
自信もコンプレックスも思い込みなんだなと感じた。
今は先生という立場で、算数、数学を教えている。
苦手な生徒がいればとことん寄り添う。
大切にしているのは、問題が解けたときの笑顔だ。
簡単な問題も、苦手な子からしたら難しい。
自分も7や8の段の九九がどうしてもできなかった。
だから、算数苦手な子が問題に挑戦し、見事、解けたときの笑顔が自分のことのように嬉しい。
算数の問題から、わかった!できた!という体験をどんどん積んでいってほしい。
算数が苦手な子ほどそうだ。
その喜びが、次の問題へと心をかりたてる。
自主的に物事に取り組むことにつながる。
自己肯定感を育み、劣等感など吹き飛ばす。
頭を抱えていた問題が解けたときの最高の笑顔、この瞬間のために手助けをしたいと思う。
頭を抱えてう~ん、と悩んでいる子に言葉では言わないが、
「がんばれよ!」とエールを送りたい。