はじめての海外は、フィリピンに行った。
マニラにある空港から出ると子どもたちが寄ってきた。
「マネー!マネー!」
何かを訴えるような目つきで子どもたちが、こちらを見てくる。
素通りしたが、カルチャー・ショックを受けた。マニラの市内には、靴を履いていない子や、ボロボロの服を着ている子が沢山いた。
信号などで道路に車を止めると、横断歩道もないのに車の近くまで来て、食べ物を売ってくる子がいた。
学校のある時間にも関わらず、木の細工を担いで売り歩いている子もいた。
それでも、彼らは必死に生きていた。
話を聞いてみると、その日その日に生きるのが精一杯なのだという。
明日、死ぬかもしれない。いや、彼らのうちの何人かは、病気で死んだり、車に跳ねられたり、事件に巻き込まれたりして死んでしまうだろう・・・。
正直、日本に生まれて良かったと思った。
働く意味って何だろうとか、どんな職業に就くのが幸せなんだろうかと悩んだりするのは、「贅沢な悩み」だ。
「どう生きるべきか」なんてこと言っているのは世界を見渡すと、人類の中でもごく一部の人間かもしれない。
「日本を離れて、日本を知ることがある」と言ったのは、松田公太さんの言葉だ。
生徒たちにも海外を見る機会があれば、ぜひ飛び込んでいきなさい。と伝えるのは、そういった理由があるからだ。
高校生が短期留学をしたり、大学生が留学して帰ってきた時に、報告をしてくれることがある。
その時に視野の広さやその人の厚みというか、成長を感じることがある。
日本にいたら気づかないことがある。
少年少女よ、海外を見ろ。